温泉療法医の方の話
温泉療法医の方のお話です。基本的に、温泉には気管支喘息などのぜんそく患者に直接的な効果はないといっています。
温泉につかって、ぜんそくの症状が改善されたという方もいれば、硫黄泉につかったけど匂いが発作を引き起こしたという方もおられます。
中には温泉だけでなく、お風呂でも発作を起こす方までおられます。
こうなると、何が良いのかわからないですよね・・・
転地効果がある温泉
温泉にはいって、ぜんそくの症状が良くなったと言われる方がたくさんいるのは、「転地効果」ではないかと言われています。
仕事や学校、家事や人付き合いなど、日常の慌ただしい生活から離れ、緑豊かな山や青い海,癒される温泉地に行くと、精神的にさわやかな気分になれるものです。普段とは違った環境に触れることで、人の五感がよりいっそう刺激を受けて、自律神経を整えてくれます。ストレスを解消したり、病気などの症状を治してくれたりする効果があります。これを、「転地効果」といいます。
高温な湿度のおかげ
温泉やお風呂では、高温多湿です。温水プールはぜんそくに良いとされていますが、同じような高温多湿。気管に優しいといえます。
当然湿度が高いため、ハウスダストなどのホコリは宙に舞っていません。
わたしが行っていたアレルギー性鼻炎の治療でも、温かい蒸気を鼻から吸って、口から出していました。蒸気吸入をすることで、のどを潤してくれます。また、温かい蒸気がのどの粘膜の毛細血管の働きを良くしてくれます。粘膜の自浄作用が活性化されて、不快感がなくなります。
温泉でみられる湯けむりは、蒸気吸入と同じような効果がありそうですね。
フランスにある小児専門温泉
フランスにある、小児専門の保養温泉地で有名な、ラ・ブールブール。標高850mの高所にあり、街は山脈の冷たい風から守られています。
温泉は、約一万5千年前の地下水と言われ、主成分はヒ素、重炭酸塩、珪酸塩などが含まれています。小児ぜんそくの治療に大きな効果があるとされています。
この温泉地で、個人または集団により、温泉療法プログラムにそって治療を受けます。主な治療法は、エーロゾル治療といわれ、霧化された温泉水を20分から30分間吸入する方法です。ここでも、蒸気吸入が行われていますね。
温泉に入浴したり、シャワーを浴びたりすることで全身に温泉水を接触させ、皮膚への刺激をうながします。皮膚への刺激は、神経系統のストレスが気管にいくのを防ぐ効果があります。
また、アレルギーを抑える働きを持つ温泉水にふれることで、アトピー性ぜんそく(小児ぜんそくの90%を占めていましたね)への効果が期待できます。
お風呂やシャワーはどうなのか?
お風呂でも発作が起きる方がいますが、原因ははっきりしていないようです。水道水は塩素が含まれているので、塩素もぜんそくの原因の一つであるかと思われます。
ただし、やはりお風呂にはストレス解消の効果も期待できますし、全身の血行も良くなりますので、落ち着いた空間になるようなお風呂が家にあれば、ぜんそくへの効果がありそうですね。
温泉やお風呂も良さそうですが、シャワーを出したときに出る蒸気も、ぜんそくには効果があるようです。家に加湿器がない場合に小さいお子さんが発作を起こしたとき、シャワーの蒸気で発作を和らげてあげることができそうです。
まとめ
硫黄泉や酸性泉といった、ガスの匂いが強い温泉は、呼吸器系への刺激が強いため、発作が起きる場合があります。違和感を覚える場合は、無理して温泉に入らないようにしましょう。
温泉があるような地方は、都会のごみごみした街と違って、空気がきれいです。温泉には、転地効果や湿度など、間接的にぜんそくの症状を改善する効果がありそうといえますね。
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